- 有料閲覧
- 文献概要
●【新しい教育法】「問題解決に焦点を当てたオンライン博士課程」の背景
アメリカの大学・大学院教育ではオンライン教育もさかんです。オンライン教育は,一定の時間帯に全員参加で行われる従来の形式の授業とは異なり,個々にディスカッションボードへの書き込みや課題を締め切りまでに行う形式です。個人のスケジュールに合わせやすく,学校までの移動をしなくてよいという利点がありますが,自主性が高く問われる形式だと言えます。『JNE』48巻2号を通したテーマになっています。この号に掲載の「問題解決に焦点を当てたオンライン博士課程」という論文で,Problem-Based Learning(PBL)が紹介されていますが,これはさらに自主性を求められる教育法です。
PBLは構成主義の理論を元に考えられた教育法で,分析的なクリティカルシンキングスキルを育てること,協力的かつ自主的な学習,実践のための知識と能力の統合,そして自己動機を目的としています。方法にはクリティカルシンキングを促す質問,シナリオ,ケーススタディ,グループスタディ,小グループディスカッションが含まれます。教育者はファシリテーター(学習を容易にする人)の役割を担い,あくまでも生徒自身の自己学習をサポートするというスタンスを取ります。学習目標自体も生徒と教育者で話しあって決められ,教育者はその目標達成のための問題解決に必要な教育材料を提供します。この方法で多くの学生が従来のレクチャー形式の学習と同じか,それ以上の学習効果を示しています。アメリカの博士課程では,自主的な学習を通し,研究,教育に携わるだけでなく,高いリーダーシップスキルを持ち,世界の健康問題に貢献できる人材を育てることを目的にしているという背景があります。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.