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作業療法(以下OT)の知識体系が,まだまだ確立されたというに程遠いことは,その程度の差こそあれ,アメリカに於ても日本と同じである.これは,OT界全体としての研究能力の低さがその大きな原因の1つであろうと考えられるが,現在アメリカのOT界では,Jerry Johnson(Ed.D,OTR)OT協会長を中心に,この点を強く意識し,今後OTを確固としたものに築き上げていくためには,出来るだけ多くのOTが大学院教育を受けて,研究能力を身につけることが,最も重要なことの1つであると考えている.Johnson会長自身,ここ数年OTの博士課程を作るべく奔走している.
私がコロラド州立大学大学院OT修士課程にいた2年間(1974年7月~1976年7月)は,ちょうどこのJohnson会長が修士課程の責任者をつとめていた時期であった.出来るだけ多くのOTにチャンスを与えよう,という前記のような方針から,コロラド州立大学では,昼間働いているOTにも履習できるように,OTの必修科目では,夜の授業や夏期集中コースがあり,また,学生が5人以上居る場合には,大学から約80kmほど離れたデンバーまで,先生の方が出かけて行って授業を行なう,ということも行なわれていた.このような学生は,パートタイムとよばれ,1学期に,1,2科日ずつ履習して,5~8年位かかって修士課程を修了するのである.パートタイムで登録している学生は,40名ほどであった.一方,フルタイムの学生は,毎年4,5名ずつ入学し,1~3年位かかって卒業する.これらの学生は,平均10年程度の臨床経験を持ち,それまでの仕事を辞め,自分の貯えを使って,数年間勉強しにくるのである.卒業者数は,フルタイム及ひパートタイムを台わせて,毎年2~4名程度であった.
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