連載 シカゴ通信&JNEセレクション・8
アメリカ看護教育の現在がわかる『JNE』
岸 利江子
1
1イリノイ大学看護学研究科博士課程
pp.790-791
発行日 2008年8月25日
Published Date 2008/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101007
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米国看護学界での位置づけ
今回は夏の増大号ということで,本連載で日本語訳を紹介しているアメリカ看護教育の月刊誌『Journal of Nursing Education』(JNE)について,あらためてご紹介します。
JNEはアメリカの看護教育についての学術雑誌で,主に4年制大学や大学院の看護教育における研究,教授法,学習法,カリキュラムについての話題を取り扱っています。1962年の創刊以来,毎月第1週目に各号約3000部が刊行されており,主な読者は看護教員です。年間90本前後の論文が掲載され,これはアメリカの看護学系学術雑誌36本の中で7番目に多い数です。2008年現在,掲載される論文の95%は投稿,他の5%は依頼による執筆で,他研究者による査読を経ます。JNEに収められた論文が他の論文で参照された件数は2006年版によると863件で,これは11番目に多い数字です。まとめますと,歴史があり生産性が高く,看護教育の研究・実践の両分野で貢献度の大きい学術雑誌であるといえます。
JNE誌の構成
巻頭の「特別寄稿」は看護教育分野のリーダーによる提言,「主な論文」は看護教育の知識を発達させるための文献検討,看護教育に影響する哲学,政治・社会・文化・教授法・テクノロジーなどについての分析,理論構築のための質的研究などです。「小研究」は小規模な研究の報告や,まだ十分に検証されていない教育法の話題などを含みます。「シラバスセレクション」では,実際に使われたシラバスの簡単な紹介と,その授業で行われた工夫や学生の反応などが報告されています。
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