——
アメリカ看護教育の将来
千野 静香
1
1日本看護協会渉外係
pp.53-56
発行日 1964年10月1日
Published Date 1964/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663905369
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ゴールへ向かって一歩一歩前進している
最近のナーシング・アウトルック(April 1964)アメリカの看護教育のあるべき姿について,メエリーツゥデン氏が鋭くメスを入れ,看護教育の将来は社会のニードに応えて技術教育と専門職教育へと緊急に切りかえてゆかなければならないと説いている。いまさら彼女が新しい行き方を発見したのでも,新説をとなえているのでもない。数年前からいやもう十何年前から折にふれ,指導者たちによってくり返しさけばれていることを強調したにすぎないのである。しかし忘れてならないことは,これがアメリカの看護教育のゴールであるということである。少なくともここ十何年間このゴールに向かってリーダーたちは一生懸命に研究を続けながら,一歩ずつ艱難を越えて着々と実行に移しつつある点,今の日本のジレンマの時点において大いに学ぶべきところがある。
たしかに過去十何年間に看護は急激に変化してきた。新しい病院の組織は次第に複雑化し,診断や治療も細かく複雑になってきた。これらの変化に応じて,看護婦は新しい知識と技術を絶えず学ばなければならない。一方看護のチームの中には多くの補助要員が加えられ,これらの人たちの教育,監督,チーム間の調整などの責任も看護婦の仕事となってきた。かたやペーパ・ウァークが増してくるにつれ,実際の患者の世話は断片的となって,その焦点が管理面に払われるようになってきた。
Copyright © 1964, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.