連載 シカゴ通信&JNEセレクション・4
科学哲学を博士課程の最初に学ぶ理由
新福 洋子
1
1イリノイ大学看護学研究科博士課程
pp.466-467
発行日 2008年5月25日
Published Date 2008/5/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100928
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博士課程の科目が始まって
私の所属しているBSN to Ph. D.プログラムでは,入学2年目から博士課程に相当する必修科目が始まります。その始まりの先学期,最初に取らなければならなかったのが,“philosophy of science for health research”(健康研究のための科学哲学)という科目で,内容は哲学でした。「今学期は哲学の授業を取っているんだ」と誰に話しても,「看護でなぜ哲学を学ぶの?」という質問が返ってきました。私自身も,コースを取り終えた今でこそ,学んだものも大きく,意義を理解できましたが,最初はどうして哲学が必修なのかわかりませんでした。今回は,なぜ哲学を看護の博士課程で学ぶ必要があるのか,どんなことを学んだのかをご紹介します。
当初は,Ph. D.がdoctor of philosophyの略号だけに,どの学科でもPh. D.コースには哲学が必修なのだと思いました。しかし,看護学部以外の友達や教員と授業の話をすると,看護学以外の専攻では哲学を学ばないというのです。あげくには,Ph. D.の“philosophy”は学問や知識の意味であり,その分野における最高学歴の意味であって,哲学の意味ではない,ともいわれました。では,なぜ看護学では科学哲学を学ぶことになっているのでしょう?
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