連載 いま,アメリカの看護教育では・3
大学院教育―博士課程
阿部 俊子
1
1イリノイ大学シカゴ校看護博士課程
pp.472-475
発行日 1996年6月25日
Published Date 1996/6/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663901392
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アメリカの博士課程教育の歴史
アメリカで看護学の修士課程が最初にできたのは1916年,ニューヨークのコロンビア大学のティーチャーズカレッジ看護教育学科だ(Brown,1979).アメリカの大学院教育の歴史をみると,大きく3期に分けられる.第1期は看護の教師と看護管理者を教育した時期.第2期は患者ケアを向上させるためのクリニカル・ナース・スペシャリストCNSの時期である.このCNSという言葉が出てきたのが1940年前半だ.
さらに第3期として博士教育の充実期.博士課程が最初にできたのはこれもコロンビア大学のティーチャーズカレッジで,1899年.看護教育者を育成するのに教育博士号EdDを与えた.看護学博士としてはニューヨーク大学が初めて1934年にPhDコースをつくったが,教育内容はコロンビア大学の教育学博士教育とあまり大差がなかったようだ(Werley & Leske,1988).臨床に根ざした看護博士としてのDNSc(Doctor of Nursing Science)養成を始めたのが1960年,ボストン大学だ.1960年には看護博士課程は4つしかなかったのに,1992年現在では54コースあるというから,この30年間でアメリカの博士課程は急成長したということになる.
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