連載 新カリキュラムを追って・7
災害看護教育プログラムの実例
小原 真理子
1
1日本赤十字看護大学
pp.239-244
発行日 2008年3月25日
Published Date 2008/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100882
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はじめに
今回の改正カリキュラムのポイントは「統合分野」の創設であり,その内容としてはチーム医療,看護管理,災害看護,医療安全があげられている。その意図は,看護基礎教育を臨床での看護活動の準備教育期間として位置づけ,教育と臨床の解離を少なくし,臨床看護実践能力の向上をめざしていることである。
災害看護については,「災害直後から支援できる看護の基礎的知識を理解すること」と定義された。このことは看護基礎教育の卒業時に,実践に結びつく基礎的知識を理解し,技術,態度,行動力も習得することが求められていると考える。これらを習得するには演習が欠かせないので,30時間は必要であり,科目として独立させるのが望ましいであろう。
近年,頻発する災害により,人々の災害に対する危機意識,防災認識,減災活動への関心が高まり,災害医療体制の充実,医療者が果たす役割の重要性が強く認識されてきた。一方,看護職は災害発生直後から中長期的に,広い範囲で活動し,状況に応じたさまざまな役割を担っている。しかし,そうした看護職の実践活動が個々の経験にとどまり,知識・技術が十分に教育に活かされていない現状が指摘されている。今後いかに災害看護の実践を蓄積し,災害への備えとして教育につなげていくかが課題である。また,すでに災害看護が導入されている教育機関の実際に行っている内容には,大きなばらつきがある。今後,教育内容を精選・体系化し,限られた人的・物理的環境のなかでどのような災害看護教育を行うかが問われている。
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