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アメリカの看護教育で取り入れられているオンライン学習
「あなたはオンラインで授業を受けるのと,クラスルームで授業を受けるのとではどちらを好みますか」という問いが,英語の試験であるTOEFLのスピーキングセクションで出たことがありますが,読者の皆様は,どのようにお答えになりますか?アメリカでは,近年オンライン教育をベースとした遠隔教育が,多くの大学や大学院で提供されています。ナースプラクティショナー(NP)や専門看護師(CNS)などの修士コース,そしてDoctor of Nursing Practice (DNP)コースもこの形態をとる学校が年々増えてきています。オンラインコースは,現場で看護師として働きながら学習していくことができ,さまざまな状況におかれている人に学びの可能性を大きく広げてくれます。ハワイ在住の友人の1人は,ハワイで看護師としてフルタイムで働く傍ら,アリゾナの大学院に入り,DNPコースを修了し,先日見事NP(ナースプラクティショナー)の資格を取得しました。そのDNPコースは,年に1週間の集中講義がアリゾナの地である以外は,すべての授業がオンラインで行われていました。そのため,アメリカ全土から学生が受講していたそうです。DNPコースは,修士を終えている学生は500時間,学士から直接DNPに入った場合は計1000時間の実習が必須となります。私の友人は,学士修了後に,現場で数年働きDNPコースに入ったので,1000時間NPの実習が必須だったのですが,自分でハワイの病院に問い合わせをしプリセプターを探し行っていました。遠隔教育を行っていない学校では,看護学部のアドバイザーが実習をコーディネートしてくれています。自分でプリセプターを探しアプローチすることは,大変ですが,自分の力で今後のネットワークの構築する力も備わっていくのではと思いました。
さて,冒頭の問いに戻ります,オンラインでの授業とクラスルームでの授業では,それぞれ利点があります。クラスルームで行われる通常の授業形態では,クラスメートと直接意見交換ができ,目で見て耳で聞き,肌で感じながら五感をフルに使い学習をすることができます。一方でオンラインベースの遠隔教育では,各々の学習ペースで進めていくことができ,講師や他のクラスメートとオンラインで意見交換をすることも可能です。自分自身がUCSFで学んでいたときは,クラスルームの授業が主体でしたが,いくつかの授業では,eラーニングが取り入れられていました。ディスカッションもeラーニング上で行われ,大きなクラスで手を挙げて発表することが苦手だった私も,オンライン上だと自分の意見をまとめてディスカッションに参加することができ,同時にクラスメートの意見もじっくりみることができ,学びを深めることができました。TOEFLのテストで,冒頭の問題に答えた7年前は,講師や仲間たちと直接交流できるため,クラスルームの授業を選択すると迷わず答えたのを思い出します。が,その後オンラインの授業を実際に大学院や他の機会で受けていくなかで,オンライン教育の良さに気づき,どちらの良さもわった今は,利便性の高いオンラインコースにより気持ちが傾いています。
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