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はじめに
2000年にアメリカからe-leaningという言葉が日本へ到来した際,看護教育分野においてICT(Information and communication technology)を利用するという考えはまだ浸透していなかった。しかしここ数年,e-learningという言葉も次第に定着し,e-learningを紹介する基本的な説明よりも,さらに詳しい情報,本質的な問題の議論が求められるようになってきた。
「情報社会における看護学教育」というテーマを掲げて開催される日本看護学教育学会が開催される今年,本誌で満を持してこの特集が組まれることとなったことは必然なのかもしれない。もう看護教育分野でも「e-learning」という「黒船」から目を背けてはいられなくなった。
読者のなかで,日本が先進国であるという認識を疑う人はいないであろう。しかし,残念なことに,e-learningの分野において日本は必ずしも先進国とはいえない。経済産業省がまとめたデータによると,日本はe-learningの整備度が世界で24位というデータがある1)。アジアの中では5位と評価されており,これは韓国やシンガポールより下の順位にあたる。現状ではアジアで10位の中国に抜かれるのは時間の問題だといわれているのである。
経済的な視野でみて先進国にあたる日本が,e-learningの分野において遅れている原因はいくつかある。インフラと呼ばれるハード面の整備が足りないことが最大の原因であろう。日本は国家的なIT戦略においてアジアでも出遅れた感がある。しかし,この問題は2001年に定められた「eJapan構想」によってかなり解消されてきたといえる。日本の小中学校にはほぼ100%に近い割合でパソコン環境が整い,インターネット人口が急速に増えつつある現在,インフラの不備による遅れを言い訳にはできなくなっている。
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