特別記事 e-learningシステムを用いた研究
研究目的でe-learningシステムを選定するときのポイントとピットフォール(後)
友滝 愛
1
,
宮内 絢子
2
,
政岡 祐輝
3
,
清水 陽一
4
,
駒形 朋子
5
,
上村 夕香理
6
,
柏木 公一
7
1東海大学医学部看護学科
2「臨床看護師を対象としたEvidence-based practiceと情報リテラシーに関する研究」研究班事務局
3国立循環器病研究センター医療情報部/教育推進部
4前 国立がん研究センター中央病院看護部
5国立国際医療研究センター国際医療協力局
6国立国際医療研究センター臨床研究センター生物統計研究室
7国立看護大学校看護学部人間科学情報学
pp.194-203
発行日 2022年4月15日
Published Date 2022/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201979
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はじめに
本稿では,e-learningシステムを用いた研究を計画する際,とくに教育介入の研究で「学習教材を提供する」かつ「データを収集する」という両方の機能をもつツールとして,どのような基準でe-learningシステムを選択すればよいかを概説します。
前編(本誌55巻1号,pp.86-94)では,教育介入研究で採用するe-learningシステムを選びたいと思ったときに,まず「トライアル期間(一定期間無料で利用できる期間)に何をすればよいか?」という観点から,「e-learningシステムに備わっている機能」「見積もり」について概説しました。これらの情報があれば,複数のe-learningシステムを比較するために必要な最低限の情報を揃えることができ,研究の予算内で契約できる見通しを立てることができます。
ただしこの段階では,まだ注意しなくてはならない点が残っています。それは「自分たちの研究で達成したいことは,どのe-learningシステムで実現できるのか」です。e-learningシステムは多機能で,一見,何でも実現できるようにも思われます。しかし,自分の研究に必須の要件が備わっているかどうかは別です。このようなe-learningシステムの理想と現実のギャップに気づくためには,契約前に(できればトライアル期間中に)実際の研究利用を想定した機能・動作確認が必要です。
そこで本稿では,「自分たちの研究で達成したいことをe-learningシステムで実現する!」といったゴールから逆算したときに,実際の研究利用を想定した機能・動作確認を進めるプロセスの一例を紹介します。
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