特集 教育の改善をめざして―看護学教育研究の進め方と落とし穴
“門前の小僧”がみた看護研究―コミュニケーションという側面からみた実践的ヒント
稲川 あすか
pp.214-218
発行日 2007年3月25日
Published Date 2007/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100633
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
「門前の小僧習わぬ経を読む」わけ
私は10年ほど看護系雑誌の編集に携わった経験があります。その仕事を通じて,看護領域の論文を多く読みました。掲載に至ったものばかりでなく,その何倍にものぼる数の「掲載には至らなかった論文」も,です。
研究論文は一定の形式とルールに従って淡々と記述されるために,無味乾燥なものに思えるときもありました。しかし,修士論文を仕上げた人から,それがいかに苦しい作業であったか,自分の心身を削るようなものであったという話を聞いた時,一つひとつの研究の背景には,論文の行間に表われない,実に重いものがあることを知りました。すなわち,研究者自身の膨大な時間と労力はもちろんのこと,研究指導者や学生・患者といった研究参加者(研究対象者)の時間・労力,さらには「研究の役に立てるのなら」といった善意など,膨大なエネルギーと想いが研究には注ぎ込まれているのだということです。
Copyright © 2007, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.