連載 教え,伝える現場…番外編
好きなことにこだわりをもちたい―岡野谷朝子さん
津金 亜貴子
pp.89-91
発行日 2007年2月25日
Published Date 2007/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100606
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「映画の仕事」――物語を筋立てる脚本家がいて,演出する監督,演じる役者がいる。それをカメラマンがフィルムに焼き付け,編集する人がいて,ようやく出来上がる。途方もない時間と手間をかけた作り手たちの“夢”,フィルムをスクリーンに映し出して観客に見せる役目,その最後の担い手が映写技師だ。
2004年12月,私は東京・下北沢にある小さな映画館の映写技師,岡野谷朝子さんと出会った。低迷を続ける日本映画界に,わずかながら明るいきざしが見え始めた頃で,映画の興行収入は過去最高額を記録。それにともなって,入場観客数も数を伸ばした。相変わらず街からは名画座が消え続けていたが,その寂しさを感じながらも映画を愛し支えてきた人たちのドキュメンタリーを撮り始めた。観客の後ろ姿を見つめ,映写をする岡野谷さんの姿は特に私の印象に残っていた。
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