連載 患者学通信・1【新連載】
患者さんの声を医療に届けるために
田中 祐次
1
1東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム
pp.155
発行日 2007年2月25日
Published Date 2007/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100615
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本誌1月号で,柳田邦男さんと対談しました。連載第1回目の今回は,最近耳にする「患者さんの声を医療に届けるためにはどうしたらいいのだろうか?」をいかに実践するか,考えてみようと思います。そもそも,患者さんの声はどこにあるのでしょうか。
私自身は,患者さんの声は患者さんからしか聞くことができないと考えています。以前,ある患者さんから「先生,患者ってね,お医者さんにも看護師さんにも,家族にだって友達にだって気を遣っている,本音は言えないんだよ」と言われ,ドキッとしました。そうか,患者さんのことは患者さんに聞くしかないのかもしれない,と思ったのです。もちろん患者さんの気持ちをよく理解している医師,看護師はたくさんいると思いますが,それはたくさんの患者さんと触れ合い,話し,そして共感してきたという経験からわかるものなのでしょう。でも,若い,経験の少ない医療者にとってはなかなか困難です。
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