発言席
思春期保健にこだわりをもって
北村 邦夫
1,2
1群馬県前橋保健所
2現・日本家族計画協会クリニック
pp.458
発行日 1988年6月10日
Published Date 1988/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207546
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保健所や市町村で働くわれわれ医師や保健婦の中には,思春期保健なんて守備範囲からはずれていると考えている人が多い。老人保健事業の推進に躍起になっている今日,とても従来のようには母子保健の仕事ができないとこぼしている保健婦に,何を今「思春期」かとお叱りを受けそうだが,僕の思春期保健に対するこだわりは,正常の域を遙かに超えている。
辛くはないかい? 思春期の子ども達の問題行動の数々を見聞きするにつけ,あの子もあの子もみんな,乳幼児健診などで自分の前を通過していった子ども達であることを考えると。身体は正常に成長している,心雑音がない,神経発達に異常がないとの理由だけで,その場限りの「異常を認めない」の烙印を押された子ども達。プロとは名ばかり,とてもその15年後に起こすであろう子どもの問題を予測することはできなかった自分の無力さ。
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