- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
国家が取り組む「e-Japan 戦略」(IT 戦略本部2001年)1)を受けて厚生労働省が「保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」2)を発表したのは平成13年であった。この提言では①平成16年度までに全国の二次医療圏ごとに少なくとも1施設は電子カルテの普及を図ること,②平成18年度までに全国の400床以上の病院ならびに全診療所の6割以上に電子カルテの普及を図ることが目標として掲げられた。これを受けて全国的に電子カルテの導入が進められている。
電子カルテシステムの普及度に関する調査は厚生労働省の医療施設調査3)(平成14年10月1日)が公表されているのみであるが,この調査によると当時400床以上の849病院のうち導入済み21病院(2.5%),具体的な予定がある234病院(27.5%)で,導入予定なし594病院(70%)となっている。しかし上記の提言に基づいて電子カルテシステムを導入する病院が増加することは必至であり,看護学教育に携わる教員は,学生がそのような病院で臨地実習を行うことを視野に入れて,今から効果的な実習指導に向けて準備をしていくことが重要となる。
本学が電子カルテシステムを導入した系列病院で看護学実習を実施するようになって2年が経過した。実習を開始するに当たって,当該施設が開院2年目でまだ基盤整備中ということもあり,臨床側・大学側いずれも不安で一杯であった。その中で相互に連携をとり,試行錯誤を繰り返しながらより良い実習指導を目指して取り組んできた。その結果は2003年・2004年の日本看護学教育学会学術集会4─7)において報告したとおりである。これまでに得られた知見をもとに本連載で1回目は看護学実習の実際について,2回目は学習効果について,3回目は練習用ソフトの作成と実習効果について紹介していきたい。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.