特集 在宅看護論の授業展開
第I章 在宅療養者の理解と看護
心不全・呼吸不全の状態にある在宅療養者とその家族の看護/【事例】心不全・呼吸不全にある在宅療養者の看護の実際
大塚 廣子
1
,
西山 郁子
2
,
久保 奈津子
2
1前東京都立南多摩看護専門学校
2東京医科大学八王子医療センター訪問看護相談室
pp.968-977
発行日 2004年11月1日
Published Date 2004/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100512
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疾病が生活に及ぼす影響
生活習慣病などさまざまな疾患が原因で,呼吸不全・循環不全状態に移行する疾患が増加してきた(図1)。その結果,在宅で冠動脈拡張剤・抗不整脈剤の薬物療法を受けている人,また在宅酸素療法(HOT)をしている人,ペースメーカーをつけている人,人工呼吸器をつけながら生活する人は全国で12万人にのぼるといわれる。
循環器や呼吸器が不全の状態にある人は,少しのことで動悸や胸痛,呼吸困難の症状を呈しやすく,日常生活の一挙手一投足に細心の注意を払わなければならず,周りの人も気を配りながら生活をしている。このような緊張した生活は療養者ばかりでなく,その家族にも心理的なストレスを与えることになる。症状が出現すれば,療養環境が整えられなかったことにその原因を求めていっそう神経質な生活を余儀なくされ,家族関係もギクシャクしやすい。これでは療養者の状態改善は望めない。
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