実践報告
看護学生の視覚障害者を理解するための教育方法の検討―疑似体験による感想文の分析
二重作 清子
1
,
江藤 節代
1
,
福田 和美
2
,
古庄 夏香
2
1日本赤十字九州国際看護大学
2佐賀大学大学院医学系研究科
pp.778-782
発行日 2004年10月1日
Published Date 2004/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100478
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はじめに
高齢社会を迎え,視覚障害を持つ人(以下,視覚障害者とする)で高齢の入院患者も多くみられる。また,近年の慢性疾患の増加に伴い,糖尿病の合併症による視覚障害者も増加している1)。一概に視覚障害者といっても,その内訳をみると全盲者よりも,いわゆるロービジョンといわれる,視力が健常者に比較して低下しているが視覚活用の可能性が残っている人の割合のほうが多い。
しかし,一般的に視覚障害者は全盲者と認識されやすく,地域社会や病院,施設において視覚活用の可能性が残っている人がいても見過ごされていることが考えられる。そのために,身近な生活動作においても,必ずしも満足した生活が送れているとは限らない。また,視覚障害者は危険を回避するための行動の制約,それに伴う生活リズムや習慣の変化,他者からの援助を受けねばならないことへの気がねなどから,身体的にも精神的にも苦痛を感じていることが推察される。
患者にそった支援を行うためには,患者の状態や気持に共感する必要があるとの認識から,私たちはその1つの方法として,生活者としての患者を理解するための疑似体験を看護基礎教育の段階で取り入れている。夏休み期間中に,日常生活での疑似体験として,「オムツ装着者,視覚障害者,食事制限している者」のいずれか1つを自由選択し,疑似体験する試みを取り入れた。本稿では,視覚障害者の疑似体験を選択した学生の学びの実態を明らかにする。
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