実践報告
臨地実習における対人関係の構築と概念枠組み
山下 美根子
1
1埼玉県立大学保健医療福祉学部看護学科
pp.391-397
発行日 2004年5月1日
Published Date 2004/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100405
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はじめに
看護は実践の科学という視点から考えると,学生は臨地実習の受け持ち患者との関わりの中で対人関係のとり方について学び,また教員においては学生が患者とどのように関わったら効果のある学習ができるかに視点をあて指導することが重要だと考えられる。学生が到達する学習目的と目標を明確に掲げることは,実習の評価をする際の基準となるので,その基盤となる中核概念を明確にすることが重要である。
学生の実習成果をどのように評価するか,特に精神看護学実習では実習評価を行うことについての不安や課題が指摘された(金城,2003)。精神看護学実習においては,患者との対人関係のとりかたが基礎となるので,コミュニケーション技法を含めた関わりあいの指導が必要となる。看護実践においては,患者との対人関係のとりかたで患者に対するケアの評価に影響をおよぼすといっても過言ではない。
そこで私たちは,精神看護学の臨地実習を行う際,教員が学生に期待する到達目標を掲げた。ペプロウの患者―看護師関係の発展段階(Forchuk, 1989, p.32)(表1)を概念枠組みとして,これを臨地実習の目標および評価に導入した。看護実践を行うには評価の基となる枠組みが必要となる。概念枠組みが明確にされていない実習方法は科学的アプローチとはいえず,行き当たりばったりのケアになりかねない。
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