特集 看護の学びを問い直す 専門職の成長を促すものは何か
看護現場学への模索―帰納的アプローチによる現場発の理論
陣田 泰子
1
1聖マリアンナ医科大学病院
pp.578-584
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100318
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悔しさからの出発
現場人間が教育の現場へ
私は26年の臨床経験を経て1995(平成7)年4月,開校したばかりの看護短期大学の教員になった。故郷の病院で6年,大学病院で20年勤務した後だった。集まった教員たちのほとんどが教員経験者であり,臨床一筋は私だけだった。看護は“実践の科学”であるのだから,臨床一筋26年という自分のキャリアは教員をするうえでそれなりの意味があるものと,私は勝手に考えていた。
開設したばかりの短大は,“すべてのものを創る”ことから始まった。初めての授業からさまざまな委員会活動に至るまで,個人あるいは共同の作業を通して創り上げていくプロセスだった。何か月かたつうち,他の教員たちに比べて,「一歩遅れる」自分を感じるようになった。単に作業が遅いだけではない,何か違和感があった。考えても理由がわからなかった。
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