特集 看護の学びを問い直す 専門職の成長を促すものは何か
「反省的看護実践」の枠組みとモデル図の提案―Schön理論を手がかりとして
本田 多美枝
1
1日本赤十字九州国際看護大学
pp.570-577
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663100317
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はじめに
めまぐるしく変化する社会情勢や医療技術の進歩,人々の価値観の多様化に伴い,看護職者には,非常に複雑な状況に対応していくことが求められている。看護職者がこうした社会的要請を受けとめ,固有の状況に価値をおいたケアを展開していきたいと願うのであれば,看護が展開している実践状況を改めて学びの場として捉え直すことが必要ではなかろうか。既存の知識を日々の看護実践のなかで洗練させていくなかで,また実際に患者と関わるなかでこそ得られる学びがあると考えるからである。
こうした学びは,日々のケアにどのように取り組むかによって左右され,意識的な努力を伴ってこそ深まるものであろう。しかし,現状においてはその難しさが露呈し,このままではいけないという漠然とした不安を抱きながらも,どのように自己成長を図っていけばよいのか困惑している人も少なくない1)。筆者自身もそのひとりであった。
実践の科学といわれる看護学において,実践から学ぶことの重要性は強調されているが,その意味や学び方について示した理論的基盤は十分に整っているとはいえない現状にある。
筆者はさまざまな文献を読み進めるなかで,Schön2)の考えに触れ,それを手がかりに看護実践を通した学びを問い直し,理論化することを試みた3)。本稿では,その一部として,「反省的看護実践」の枠組みとモデル図について紹介する。
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