グラフ解説
新しい母親学級の模索
関根 憲治
1
,
山田 多美枝
1
,
宮下 ムツ
1
1関根産婦人科
pp.225-229
発行日 1984年3月25日
Published Date 1984/3/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206416
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はじめに
月日の流れ去るのは,何とも速いもので,ささやかな母親学級を始めてから足かけ13年めを迎えようとしている。母親学級という名の保健指導は,簡単にできるようで,実は大変にむつかしい看護技術の1つであるという事実を,いやというほど思い知らされた歳月であったし,母親学級の実際的な,よりよい効果を求めての試行と錯誤の年月でもあった。
加速度的な核家族化,満ち足りた繁栄社会で自己主張と自我に振り回されて成人した,セルフコントロールのあまりきかない若年妊婦の増加など,多くの社会事情の変遷により生じたわれわれ産科スタッフと妊婦との間の大きなギャップを埋めて,母親学級の効率をより高めるには,おざなりのそれでは,もはや対応しきれないと考えざるを得ない。そして,否応なしに,いわゆる意識の低い核家族化した都会の若年妊婦を対象とすることの多い当院のような産科診療所が,それぞれの妊婦の社会的・経済的・職業的・心理的側面を多角的にみたあらゆる日常生活の内容背景を十分に踏まえて,よりよい母親学級を目指して現状を変えてゆくためには,若年妊婦が何を考え,何を悩み,何を求めているかをみきわめ,そのあり方を見直す必要があると思われる。さらに,従来からの母親学級の範ちゅうを逸脱しても,若い世代の妊婦に対応する新しい形の母親学級を模索しながら,これを確立してゆかなければならない時期にきていると考える。
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