焦点 看護における家族研究の課題
解説
看護における家族分析・援助のための枠組の検討—演繹的・帰納的アプローチを試みて
島内 節
1
1国立公衆衛生院公衆衛生看護学部
pp.403-419
発行日 1989年10月15日
Published Date 1989/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681201037
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はじめに
家族は健康習慣を学習したり,健康問題の予防・発見・ケアの重要な基本的単位である。家族の力がなければ,子どもが生存し,心身ともに育つことや,老人が日々見守られ,安全に健康を維持することもできないことが多いといえるほど,家族の日常的な保健的機能は大きい。保健医療の専門職は,人々が健康を守る営みの点としてのかかわりが多く,入院などで比較的長期間接触をもっても,点あるいは線としてのかかわりで,日常的な面としてのかかわりは,家族によるところが多い。このように多大な保健的機能を有する家族も,家族によっては心身の健康をむしばみ破綻させ,疾病を発生させる単位になることもある。
看護においては,健康問題をめぐって,家族への援助の重要性が強調されてきた。しかし,家族問題の分析法,援助法,評価視点などが体系化されてはいない。これらを確立していくための研究方法論も試行錯誤的段階で,わが国ではこれからといえる現状にある。
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