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はじめに
東京都各局の様々な職場に多くの看護職員が勤務している。最も規模が大きいのは病院経営本部の都立病院で,看護職員の総数約4,200人である。次は福祉保健局の所管する老人専門病院と老人福祉施設関係で約730人,看護専門学校が175人。都が設立し民営化した医療公社病院に約570人。保健科学大学に約40人。保健所をはじめ,総務局・教育庁・交通局などで職員の健康管理を担当する保健師は約260人。これらを合計すると約6,000人の保・助・看が同一組織に所属していることになる。都内の平成14年の看護職総数約87,000人の内の約7%弱が東京都の職員である。巨大な組織においては,同じライセンスを持ちながら顔を合わせる人も限られ,組織間のコミュニケーションを図らなければ看護職の連携もままならないという問題がある。
東京都の看護行政を担う福祉保健局医療政策部医療人材課(平成14年度まで健康局医療政策部看護課)が「都立施設看護管理者連絡会議」を発足させた理由は,当時の看護課長が組織の縦割りの弊害から,病院や保健所,看護師教育の看護管理者が相互に連絡調整を行わなければ看護職員の養成や資質向上を図るのは困難という危機感を抱いたことによる。
会議の構成メンバーを表1に示した。この会議では,東京都における看護職の資質向上に関するグランドデザインを最重要課題として年4回開催し,多様な職場で活躍する看護職が現実に協働できることとして,“共同研究”と“ワークショップ”を行うことを決定している。
共同研究は「新卒看護師の就職後4か月と10か月の職業的発達とその関連要因」を調査し,平成14年に発表し,その後も毎年調査を継続しており,今年度は「3年後の職業的発達について」日本保健科学学会で発表した。
ワークショップは,都立保健科学大学が施設看護管理者連絡会議が主催する形にして平成13,14年度に開催し,15年度からは看護専門学校が企画・運営することになった。これまでの,ワークショップの経過と,平成16年度のワークショップを紹介しながら,巨大な組織に勤務する看護職の連携のあり方と今後の資質向上の方向性について考察する。
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