調査報告
在宅末期がん患者の介護保険サービスの利用状況と課題
廣岡 佳代
1,4
,
狩野 英美
2,4
,
渡邉 美也子
3
,
川越 博美
3
1東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科博士後期課程システムマネジメント学
2山梨県立大学看護実践開発研究センター
3訪問看護パリアン
4前・訪問看護パリアン
pp.608-612
発行日 2012年7月15日
Published Date 2012/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102248
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末期がん患者の要介護度、利用サービスを明らかにすることを目的に、在宅ホスピスケアを受け自宅で死亡した患者を対象に調査を行なった。その結果、在宅ホスピスケア終了時までに介護保険を申請していた87名のうち、要介護度が認定されていない患者は32名(37%)であった。一方、要介護度が認定された患者53名中では、要介護2以下が25名(48%)を占めていた。在宅ホスピスケア終了時の要介護度と在宅期間、在宅ホスピス終了時の要介護度と利用単位数には中程度の相関があった。利用内容は、福祉用具(電動ベッド)の利用率が申請者87名中77名(89%)と高かった。また、サービス利用期間が比較的短期間であることや、区分限度基準額を超えるサービスを使用していないことが示された。要介護度はホスピスケア開始時のADLを反映されている傾向が高く、現状の要介護認定は、末期がん患者の病状進行を十分予測したものとはいえない。末期がん患者の在宅ケア日数は短く、ADLは死亡前1~2週間に急激に低下することから、迅速なサービスの導入と調整が必要である。今後、末期がん患者が安心して在宅療養できるよう、末期がん患者の福祉用具利用は無条件とする、あるいは、最低限電動ベッドが利用できるよう要介護2以上が即認定されるような制度の導入が望まれる。
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