調査報告
保健所保健婦と在宅酸素療法者との関わり—阪神大震災と関連して
北山 八千代
1
1神戸市西保健所
pp.42-48
発行日 1997年1月10日
Published Date 1997/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902843
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●要約
今回の阪神大震災において,在宅酸素療法者に対する緊急体制の不備がみられた。
震災時,医療機関の多くは機能せず,保健所もおびただしい数の被災者への救護活動に忙殺されていたなか,在宅酸素療法者はどのような状況であり・どのような行動をとっていたか,対応した9区の神戸市保健所保健婦にアンケート調査を行った。調査結果から在宅酸素療法者は43人中70歳以上29人(67%)と高齢者が多く,単身世帯・高齢者世帯が65%と多いこと,震災により心理面・身体面の変化のある者が回答者の半数を占めており,現在も不安状況のあることがわかった。
また震災時,本人や家族から保健所への連絡がなく,病院への問い合わせもわずか2人と少なかった。
今後普及が予測される在宅酸素療法にとって災害時対策は不可欠と考えるが,在宅酸素療法者のみでなく,保健婦が把握している要援護のケースに対して,保健所保健婦はどのように今後の災害時対策およびケアシステムを構築していけばよいのか考察した。
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