特集 大規模災害対策における保健婦の役割
阪神大震災時における保健婦の活動を振り返って
金子 仁子
1
,
鳩野 洋子
1
,
斎藤 泰子
1
1国立公衆衛生院公衆衛生看護学部
pp.726-731
発行日 1995年9月10日
Published Date 1995/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901215
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はじめに
1月17日に阪神大震災が起こり,半月,1か月と日数が経った。その間,神戸へ各都道府県から保健婦が派遣されたことを聞くたびに,何か看護学部員である私たちにもできることはないかと考える日々が続きました。この気持ちを,厚生省健康政策局の平野かよ子保健指導室長にお話ししたところ,「被災地の保健婦の活動は状況が刻々と変わるため援助内容が毎日変化し対応に追われていて,その時々の仕事を一生懸命やっている状況です。今,被災地の現場が経験していることは,後にまた緊急事態が起こった時にきっと役に立つのでは。その意味でも,業務のまとめをしておくことが必要ではないかと思う」ということでした。
また,国立公衆衛生院平成6年の1年コースの学生が,雲仙普賢岳噴火災害時の保健婦活動の経緯を研究論文(本号,p. 739-747)としてまとめていたので,これらの非常時の保健婦活動のあり方に関心が非常に高まっていました。災害時において活動を始めた時点から,まとめて業務を見直すことの必要性を感じていました。そこで,被災地で日常業務を援助するのではなく,保健婦業務を振り返り,そのまとめを行いたいと考え,神戸市中央保健所を訪ねることになりました。
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