特別記事
災害時の公衆衛生活動
中瀬 克己
1,2
1岡山市中央保健所
2前,神戸市中央保健所
pp.805-808
発行日 1995年10月10日
Published Date 1995/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902799
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医療救護
1月17日夕刻,住まいのある神戸市須磨区から橋を渡りトンネルを通って神戸市の中心街に至ると,そこにはブラウン管を通して見るような非現実的な光景が広がっていた。路面の段差や障害物を避けて広い道路を通り,交通規制をしている警察官に事情を話してくぐりぬけ,職場である神戸市中央保健所に着くことができた。地震災害と救急医療はすぐに結びついたが,公衆衛生活動はどのような役割があるのか,その時は頭に浮かばなかった。区役所,保健所,福祉事務所などが入った区の総合庁舎に集まっていた被災者からは,けがの処置などの希望はほとんどなかった。検死の依頼を受け避難所にでかけた。検死は警察の嘱託医に任せることとし,避難所で死亡の確認だけを行った。
避難所では助け出された子どもを診たり,軽い外傷の処置をしながら,何をなすべきなのかを考えた。17日深夜には神戸市役所に救援物資の医薬品が届いたので,取りに行って外傷処置を中心とした携帯しやすいセットをつくった。既に避難所の巡回を始めていた日赤の医療チームは,自ら医薬品を持参していた。中央区災害対策本部の作った一覧の中から小規模の避難場所を選び,18日朝から保健所職員の医師,保健婦,衛生監視員の3人のチームで巡回した。
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