特集 広域・複合災害に備える―自治体の公衆衛生活動
広域災害に対する公衆衛生活動
桜山 豊夫
1
1東京都福祉保健局
pp.910-913
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102278
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本年3月11日14時46分,東北沖を震源とするマグニチュード9.0の東日本大震災が発生した.その日は,筆者が勤務している東京都の都議会定例会の閉会日で,本会議終了直後の時間帯であったため,筆者は議会棟の5階で地震を迎えた.エレベータが停止し,平素の勤務場所である福祉保健局のある本庁舎21階に階段で戻る途中,被災状況を確認するために9階にある東京都総合防災部に寄ったが,その時点では東北地方では建物の倒壊や火災の報告はなく,少しほっとしたことを記憶している.恥ずかしい話であるが,そのときには,それに続く津波の被害にまでは思いが及ばなかった.
今回の地震では,宮城県栗原市で震度7,宮城県,福島県,茨城県,栃木県などで震度6強を観測したが,地震そのものによる建築物倒壊などの被害は,阪神・淡路大震災のそれに比べれば少なかったようである.一方,今回の地震においては,宮古市で15時26分に8.5m以上,石巻市鮎川で15時26分に8.6m以上,相馬市で15時51分に9.3m以上の最大波の津波を検潮所で観測した.遡上高では,宮古市古堀内漁港などで37.9mに達したところもあったと言う.地震の揺れおよび津波により,と言うよりも,主に津波によるのであろうが,東北3県で約2万人の死者・行方不明者が発生した.また全壊,半壊などの建物は25万戸を超えると言う.
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