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【シンポジウム:体験をふまえた災害看護学発展への提言】
「災害時の救援活動と平時の災害対策」
Rescue Operations for Emergency and Regular Measures for Disaster Prevention
山﨑 達枝
1
Tatsue Yamazaki
1
1東京都都立広尾病院
pp.10-16
発行日 2000年1月30日
Published Date 2000/1/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.7008200319
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はじめに
ここ数年間国内・外では、自然災害から人的災害に至る集団災害が頻発し、多くの尊い命が失われ、多数の負傷者や医療施設が被害を受けまさに「災害時代」である。NHK神戸放送局より出版された、神戸心の復興のまえがきに出石氏は「神戸は日本のカナリヤだと言った人がいる。カナリヤは空気の変化を敏感に感じ取り、地下の坑道で作業している人達に身をもって危険を知らせる。神戸はその様な役割を果たしている。」と述べている。
多くの犠牲者を生んだ先の阪神大震災。この震災から多くの事を私たちに提示された。その一つとして、わが国の危機管理の脆弱性と医療従事者の災害医学知識の乏しい事であった。提示されたこれらの教訓を生かし、私達が今考えなければならないことは、災害からの被害を最小限にするための防災対策ではないだろうか。今、災害サイクルからみた静穏期という災害間の期に(図1)、地震・台風・津波・洪水・火災・列車事故等災害の種類から受けるそれぞれの疾病構造・特徴を理解し、具体的でさらに実践可能な計画に基づいた訓練・教育の取り組みが重要だと考える。災害を完全に防ぐ事は難しいが、災害発生前の準備・防災対策の投資を段階的に行い、これらが十分機能することで、例え災害が発生したとしても死亡者数・物質的な被害等の莫大な損失を少なくする事が可能となる。
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