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はじめに
南米大陸の真ん中に位置するパラグアイという国のことをご存じだろうか? 私がこの国に初めて赴いたのは,1992年に青年海外協力隊として派運された時だった,協力隊の合格通知に「派遣国:パラグアイ」と記されているのを見て,私は地図帳を広げて調べたくらいである.
パラグアイは日本の1.1倍の国土に約520万人の人口を有し1),農牧畜を主産業とする国である.国民1人当たりのGNPはUS$2.0601),乳児死亡率は19.7(出生1,000対),妊産婦死亡率は130.7(出生10万対)である2).国民の識字率は,女性も含め95%を超えている1).しかしながら,特に途上国の場合には,こういった平均値は現実の姿を表さないことがあり,パラグアイもその1つである.筆者の経験から,文化や習慣は違うにしろ,パラグアイの農村部の生活はアジアやアフリカの農村部の生活レベルと同様であるといえる.
日本は世界でもトップレベルの経済援助国である.また,世界中に日本の車や電気製品が溢れていることから,他国の人々は日本人が思っている以上に親日家であり,日本のことをよく知っていることがあるが,パラグアイもそういった国の1つである.さらに,日系人の方々がパラグアイの農業や経済に非常に貢献してきた歴史もあり,日本人に対する評価は高い.
私のこれまでの経験については,本誌1999年12月号に掲載されているので,そちらを参照していただければ幸いである.今回は,私が1995〜1998年まで国際協力事業団(JICA)長期派遣専門家として「パラグアイ地域保健強化プロジェクト」で活動していた際に,プログラムの1つとして携わっていた妊産婦手帳の開発について紹介する.
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