特集 今求められる結核対策(2)—事例集
【事例の総括】緊急事態の陰で
森 亨
1
1結核予防会結核研究所
pp.534-538
発行日 2000年7月10日
Published Date 2000/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902215
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本誌前号の「特集」で触れられたように,昨年7月の「結核緊急事態宣言」の背景は,もちろん結核流行の量的・質的な動向が思わしくないことである。しかし,それと同時に,そのような問題に対する医療や行政の対応が十分とはいえないことも強く指摘されており,これはわれわれ結核対策関係者がまず第一に反省し,姿勢を正さなければならない点である。同様に,地域の結核対策にますます重要な地位を占めるようになっている保健所にも,そうした気の引き締めが求められている。
しかし実際には,今までのところその方面から響いてくるものは弱い。むしろ,そのかたわらで保健所の統廃合,X線や細菌検査業務の廃止や整理が着々と進行し,拡大している。口を開けば「大変だ」というが,多くの関係者の行動は冷ややかであり,ネガティブである。無論,本号の寄稿者のように,きわめて熱心で勇気づけられる保健所,スタッフも少なくないことは確かなので,上のような悲観的観測は部分的なものと思いたいが…。
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