特集 今求められる結核対策(2)—事例集
保健所と医療機関との「連携」のための具体策
阿彦 忠之
1
1山形県村山保健所
pp.540-545
発行日 2000年7月10日
Published Date 2000/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902216
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「連携」の二文字は,世の中で関心の高まっている重要な分野で多用される。結核が国民病といわれた時代には,保健所と医療機関の連携は緊密であった。結核予防法による諸施策も,両者の連携を大前提として体系化されている。しかし,結核患者が減少し,医療現場や医学教育の中で結核を軽視する傾向が長く続き,両者の連携がギクシャクしてきた。患者の届け出もれや届け出の遅れ,結核院内感染の多発などは,その現れといえる。
山形県の結核罹患率は,全国に比べてかなり低く推移してきた。それゆえの油断があったためか,結核の医療や予防対策の「質」の面では,1970年代後半からさまざまな問題が指摘されていた。例えば,「長期治療者の割合が全国で最も多い」「BCG既接種児のツベルクリン反応(ツ反)が非常に弱い」などである。いずれも医療機関の診療内容や医師の技術に起因したもので,行政側からの積極的な介入は遠慮されがちな問題であった。
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