今月の臨床 分娩の多様化とリスク管理
分娩様式とリスク管理
10.緊急事態への対応
柳原 敏宏
1
1香川医科大学産婦人科学教室
pp.1461-1463
発行日 2002年12月10日
Published Date 2002/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409904802
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はじめに
分娩に携わる医療者にとっての目標は,安全な分娩によって母児ともに健全であることである.この目標を達成するため,自宅分娩から施設分娩へと分娩様式が大きく変化した.さらに周産期医療の発達によって,妊娠・分娩の安全性は飛躍的に向上した.現在では,妊娠・分娩は生理現象であるとの考え方と,妊産婦の分娩に対する意識の向上により,安全性だけではなく快適性と満足感を求める妊産婦が増加している.これに呼応して,自然分娩指向が強くなっており,さまざまな分娩様式への医療者の対応が要求されるようになっている.妊産婦の多彩な要求を受け入れることによって,妊産婦自身が分娩を受動的ではなく能動的に考え行動することができ,分娩中の疼痛・苦痛を緩和し満足感は非常に高くなる.妊娠・分娩が生理現象であることは事実であるが,それを安全なものとしてきたのは医学的進歩によるものであるのも事実である.医療者は,妊産婦の要求に応えながら,その安全性を損なわないため以前にも増して緊張度が高まっているように思われる.本稿では,医療者にとって大きな問題である自然分娩における緊急事態対応について述べる.
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