特集 『健康日本21』の地方計画をつくろう
地方計画における目標値設定の方法
尾崎 米厚
1
1国立公衆衛生院疫学部
pp.400-405
発行日 2000年5月10日
Published Date 2000/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902189
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『健康日本21』における指標
健康寿命を取り上げて
『健康日本21』の基本的な目的は,健康寿命の延長と生活の質の向上である。そのために疾病負荷(集団における健康障害の大きさ),健康改善の可能性(改善のための効果的サービスがある),経済的効率を考慮して優先的健康課題を選定する。目標値の設定は,その問題とする健康課題の現状に加え,危険因子の状況,サービス提供状況を把握し,健康改善の可能性の情報をもとに算出する。健康改善の可能性は,働きかけ内容のリストアップ,根拠の質を調べてくる,効果を予測する,費用対効果を勘案するというステップを踏んで決定する。
健康寿命とは「あと何年,自立して健康に生きられるか」を測る新しい健康指標である1)。健康寿命は,ある一定の健康状態で生存できる期待平均年数を生命表の手法により計算するものである。「ある一定の健康状態」とは,そのもとになる「健康」の定義により異なってくる。活動的平均余命(心身ともに自立),障害のない平均余命,痴呆のない平均余命などがある。これらは観察集団における死亡率,心身機能障害の罹患率のデータをもとに計算される。
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