連載 いま知っておきたい環境問題・14
酸性雨とその影響
原 宏
1
1国立公衆衛生院地域環境衛生学部
pp.406-414
発行日 2000年5月10日
Published Date 2000/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902190
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はじめに
1973年6月28,29日の両日,駿河湾沿岸と山梨県上野原で,霧雨が眼や皮膚を刺激する事件が起こった。この人体影響事件がわが国での酸性雨問題の直接の始まりであった。以来,四半世紀,酸性雨は今や地球環境問題として大きな社会的な関心を集めている。
化学の教科書1)や権威ある辞書2)は,酸性雨を「pH5.6以下の雨」と説明している。霧雨の人体影響があったからなのか,酸性雨は「雨がpH5.6以下になる」という認識が社会的にも支持されているように見える。こう考えると問題の大半を見逃してしまうことになる。この環境問題の正体3〜5)とその影響6〜8)を考えてみよう。
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