特集 気になる「閉じこもり」とは—改めて「老い」を考える
生態学としての「老い」
柴田 博
1
1東京都老人総合研究所
pp.11-16
発行日 2000年1月10日
Published Date 2000/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902122
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高齢社会と人口問題
高齢社会の最も大きな問題は人口問題である。現在,地球上の人口は60億に達している。将来予測として2025年には,高位推計で107億,中位推計で89億,低位推計で73億となっている1)。どこに落ち着くかは,今後の各国の政策によるが,中位推計のあたりに落ち着く可能性が高い。
いうまでもなく,高齢社会は死亡率の低下(少死)と出生率の低下(少産)の双方によってもたらされる。図1に示すように,将来人口の増加部分はほとんど発展途上国においてであり,先進国の増加部分は見込まれていない。先進国は人口抑制政策をとり続けている。“姥捨て”がなく,出生率が低下すれば,高齢社会は必至である。
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