特集 保健婦の地区活動を再考する—ニーズ把握事例集
閉じこもり高齢者調査から見えてきたニーズ
山田 孝子
1
,
藺牟田 洋美
2
,
安村 誠司
2
,
阿彦 忠之
1
1山形県村山保健所
2山形大学医学部公衆衛生学講座
pp.811-814
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902051
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はじめに
介護保険法施行により,寝たきりなど要介護状態になった後の高齢者に対しては社会的支援体制が整備される。これまでも寝たきり予防の取り組みは実施されてきたが,寝たきり予備群である閉じこもり高齢者に焦点をしぼった方策は少ない。
家の中での日常生活動作は自立しても外出や社会活動性に乏しい,いわゆる「閉じこもり高齢者」は重要な寝たきり予備群である。しかし閉じこもり高齢者は介護保険制度のもとでは「要支援」にもランクされないと思われ,介護保険制度上の寝たきり予防サービスである「予防給付」の該当にならない。寝たきり予防対策とこれを促進する環境を住民とともに整備していくことが今後,地域保健における公的機関の重要な役割になると思われる。そこで我々は,閉じこもりに近似する厚生省『障害老人の日常生活自立度判定基準』似下,自立度)ランクA高齢者に注目し,その実態を把握し,寝たきり予防のための隠れたニーズや課題を抽出するための研究を行った。その中で平成9年度および10年度は,在宅高齢者の身体的・心理的・社会的状態と保健福祉医療サービス(以下,サービス)利用についての実態調査を山形保健所(現在の村山保健所),村山保健所(同左),山形大学,山形市および村山市が共同で実施した。本稿では,この調査の概要とその結果に基づいた今後の取り組みについて報告する。
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