特集 「民」の視点からの保健婦活動
「人権」から「看護哲学」への思索
足立 紀子
1
1日本女子大学人間社会学部
pp.1168-1171
発行日 1999年12月10日
Published Date 1999/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902112
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「民の視点から」への抵抗
現在,大学の社会福祉学科で学ぶ自分にとって,そのことがそのまま「民」の立場にはならないということを最初に述べたい。それは言い換えれば,社会福祉の学生ではあるがあくまでも自分は保健婦という専門職の立場にあるし,福祉職として働いているわけでもないからである。たしかに「官」の立場にはない。しかし,だからといって,第三者のように保健婦を眺めているわけではない。「官」ではないけれども,「専門職」という特殊性を有する枠組みの中にいる。
保健婦活動については,自分自身の職種としてあれこれ思い煩っており,それゆえ言いたくなってしまうだけだ。先日もある団体から研修講師の依頼があったが,「福祉の立場から話して欲しい」というものだった。自分がどうして福祉の立場なのかわからない。福祉について学んでいるだけで簡単に人を振り分けしないで欲しいと,ついひねくれた言い方をしてしまう。
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