特集 保健婦の地区活動を再考する—ニーズ把握事例集
[行動先行ニーズ把握]
在日外国人親子への支援について—育児交流会を通して
沼田 かほる
1
,
大澤 千加子
1
,
半田 須美子
1
,
作間 智鶴子
1
,
那須 文子
1
,
比企 愛子
1
,
白田 千代子
1
,
川岸 眞知子
1
1中野区保健所南部保健相談所
pp.839-843
発行日 1999年10月10日
Published Date 1999/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902056
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はじめに
中野区は,23区の西部に位置し,人口約30万人の住宅地である。新宿区,渋谷区などの繁華街に近く,交通の便もよいことから単身の若者が多い町でもある。南部保健相談所は区の南部を担当している。管内は人口約6万4千人で,一戸建て,木造アパートが狭い路地を挟んで密集し,商店街が盛況で,現在も下町の風情が残っている地域である。
当保健相談所では,母子保健事業の1つとして平成7年度から在日外国人親子の育児交流会(以下,育児交流会)を行っている。本稿では育児交流会の活動について紹介する。
中野区の外国人登録者は約1万人である。乳幼児健診において常に外国人親子が来所するようになった。健診後のスタッフミーティングでは,外国人の母親が日本の予防接種や健診のシステムがなかなか理解できず戸惑っているとか,周囲に友人が少なかったり,児童館や公園などの子育て支援の場を知らない人が多く,日本人親子以上に孤立している様子が話題になった。そこで,外国人親子の孤立をなくし,異国で子育てする不安や困難さを軽減することなどを目的に,外国人専用の子育て支援の場として育児交流会を実施することになった。
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