特集 国際化時代の保健活動を考える
―在日外国人を取り巻く状況と課題④―在日外国人の慢性疾患の状況と課題
田代 麻里江
1
1長野県看護大学
pp.1010-1015
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664100420
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慢性疾患対策は,日本でのそれと同様に外国人に対しても難しい。保健医療サービスへのアクセシビリティを,どの程度まで向上できるかが課題である。
定住化する外国人と慢性疾患対策の課題
1980年頃から急増した移住労働者の特徴は,その多くは正式な滞在資格をもち,就労できる立場人々であるということだ。日本国内で結婚して子どもをもつ者,あるいは本国の家族を呼び寄せて定住する人々は,毎年増加している。
これまで,外国人=感染症対策と考えられてきたが,定住し家族で生活する外国人らは,あらゆる年代層においてさまざまな健康問題を抱えて生活している。なかでも,外国人人口が最も集中する生産年齢の層では,日本人同様に生活習慣に関わる慢性疾患へのリスクが高い。英国政府のメディカル・リサーチカウンシルの報告書にも,移民は移住先にもともと住んでいる人々に比べて,一般的に,高血圧,慢性疾患,肥満などを引き起こしやすいとの指摘がある1)。
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