特集 NPOが住民参加を超えるとき
ソーシャル・マーケティングとNPO
田中 良明
1
1世田谷区玉川保健福祉センター健康づくり課
pp.554-557
発行日 1999年7月10日
Published Date 1999/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662902005
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ソーシャル・マーケティングと公衆衛生活動
企業ではもともと自らが作った製品をいかにたくさん売り,大きな利益をあげるかが課題であった。そこで用いられたのが,マーケティングの考え方と手法である。消費者が欲しいと思っているものは何か(Product),どのように消費者の手元に製品を届けるか(Place),コマーシャルはいかにするか(Promotion),価格はいくらにするか(Price)といったマーケティング・ミクスを体系的・戦略的にコントロールすることによって自社製品を買ってもらおうとした。しかし,近年ではマーケティングは利益を得るためだけの道具ではなく,その後の社会的な必要性からソーシャル・マーケティングとして装いを新たにしてきている。
ソーシャル・マーケティングは4つの段階から成る。1つめは企業の社会的責任や社会的貢献である。2つめは非営利組織のマネージメント,3つめは社会変革キャンペーンとしてのソーシャル・マーケティングである。有名なコトラーの『ソーシャル・マーケティング』はこの辺りを焦点にあてて論じられている1)。そして4つめが“関係づくりのソーシャル・マーケティング”であり,本稿で述べるのはこれである。
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