特集 マスコミュニケーションと公衆衛生
公衆衛生におけるソーシャル・マーケティングの活用
吉長 元孝
1
1広島国際大学医療福祉学部
pp.619-623
発行日 2000年9月15日
Published Date 2000/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902357
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ダンスといえば子どもたちの中で大人気の「TRF」のSAMさん.1998年に歌手の安室奈美恵さんとの間に長男誕生.昨年,父親の育児参加を呼びかける厚生省のキャンペーンに長男と登場して話題になった.行政や公共広告機構などが行う社会キャンペーンは,環境問題,公共マナー,教育・親子問題,覚醒剤撲滅,骨髄バンク,子どもワクチン,臓器移植ネットワークなど様々なテーマで展開されている.
近年,公共・非営利組織の社会キャンペーンにマス・マーケティング技法を取り入れ,意識的に高度な関係性で展開するソーシャル・マーケティング(social marketing)が注目を集めている.ソーシャル・マーケティングは多様化する社会問題の解決方法として,生活者や行政,企業が一緒になって,公共の福祉を実現する手法として,用いられるようになった.公衆衛生の分野,例えば家族計画プログラム,STD,HIV感染予防キャンペーン,禁煙運動,生活習慣病に関する啓発活動,アルコール依存抑止キャンペーンなどの他,いじめ防止など社会的テーマに対し,ソーシャル・マーケティングの考え方,方法論,ツールが必要となった.公衆衛生従事者にとってソーシャル・マーケティングは活用すべき技法となっている.
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