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はじめに
在宅ケアを支援するには保健福祉それに医療との連携が欠かせない。特に痴呆性老人の支援は在宅医療との関連が重要である。平成3年度より守山市では行政と守山市医師会が一体となって痴呆性老人ケアシステム(表1)を整備してきた。平成5年度より痴呆老人リハビリテーション事業の開設,平成6年度より地域保健特別対策事業として3年計画で早期痴呆性老人の発見とその処遇(すごやか教室)事業を行い,教育委員会の生涯学習課とも連携し老人の身近な生活圏である学区単位での実施が可能となった。それを平成9年度からB型機能訓練事業として位置づけ,より住民の利便性を考慮し,自治会単位へと拡大する。
保健婦は専門職として保健・福祉・医療のコーディネーションや行政職として教育委員会などとの連携を実施してきた。早期痴呆から重症痴呆,在宅ケアから施設ケアの連続性を支援していくために,家族の老人への支援能力を評価し,老人の変化に対応できる介護力と情報の収集を常に維持できるようはたらきかけることが重要である。介護の予備力を失った家族から,老人を切り離し,介護力軽減という名目で老人が末期を迎えてからの施設入所を検討するのではなく,軽症のうちからの在宅ケアを基本にした老人・家族双方のQOLと生きがいを維持できるよう時系列で連続した重症化に伴う施設医療をも考慮にいれたケアプランを作成する必要がある。そのために,在宅すなわち地域でも生活する老人と家族を支えるケアシステムの構築が重要といえる。
今回,痴呆性老人ケアシステムフローチャートを作成し,それに基づき,平成6年度から平成8年度まで,痴呆予防についてモデル的に取り組んだ。抽出された早期痴呆性老人とその家族の訪問を行い,保健婦は老人本人を精神・身体・社会面の3軸の因子で考察し,家族力動を加え家族支援能力を総合評価した。それにより家族支援能力を決定する可能性のある老人と介護者の因子が発見できたので報告する。
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