発言席
痴呆性老人を抱える家族の調査から
高原 敏夫
1
1特別養護老人ホームシャローム施設
pp.1051
発行日 1988年12月10日
Published Date 1988/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662207652
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背中で見守る
いつも目を離せない夫(71歳)を介護している妻(66歳)は,「よる休むとき一緒であることはもちろん,日中背中で夫の動きを見守りながら料理や洗濯をしている」とのことであった。週に1度息子が買ってきてくれるもので,老夫婦は生活していたのである。このような状況のときに,当施設のデイサービスを利用するようになって,やっと自由な時間が与えられ,市の中央へ出た。久しぶりに雑踏のなかに繰り出し,買物でもしようと思ったら,心臓がドキドキして,不安が募り,不適応状態に陥って,すぐに家に戻って来たというのである。訪問したときは,共倒れ寸前という状態であった。
痴呆性老人を中心としたデイサービスを開始して2年を経過し,介護している家族の困難さがわかってくるにつれ,実態を把握する必要を感じ,面接調査したとき出会ったケースである。
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