特集 痴呆性老人対策を見直す—ぼけても安心できる地域づくりのために
家族が求める痴呆性老人対策
北川 公子
1
1北海道医療大学看護福祉学部
pp.908-912
発行日 1998年10月10日
Published Date 1998/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901869
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要約
本稿では,痴呆性老人対策の進展が介護家族にもたらした効果と,残されている問題点の整理を試みた。
痴呆性老人対策推進本部が設置される前(1982年)と設置後(1991年)に「呆け老人をかかえる家族の会」会員を対象に行われた実態調査から,9年の間に家族の介護困難は大きく改善し,その背景には諸サービスの利用の大きな伸びがあることがわかった。しかし,サービスの充足状況に関する地域間格差,痴呆性老人の障害状態と家族の介護力をふまえたニーズの公平・公正な評価の問題,縦割り行政による弊害は依然として解決に至っていない。痴呆性老人の回復と家族の介護困難の軽減に向けたニーズに応えるために保健婦は,人と人,組織と組織,対策と対策をつなげるグローバルな活動が期待される。
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