特集 いまどきの子どもの健康—養護教諭をパートナーに
生と性の学習を実践して—保護者や地域の専門家の力を借りながら
岩辺 京子
1
1中央区中央小学校
pp.484-492
発行日 1999年6月10日
Published Date 1999/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901993
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取り組みまでの経過
日本の高度経済成長期を境に,子どもをめぐる社会も急激に変容した。その中でも,無責任な性情報の氾濫や覚せい剤や薬物の乱用,性被害やエイズ感染者の増大などが子どもの成長期における大きな課題として心配された。そして,文部省が学校教育で性教育を取り入れることを打ち出して10年が過ぎた。その当時は,テレビでのニュースや新聞などでセンセーショナルに取り上げられていたのを記憶にとどめている方も多いのではなかろうか。学校で性教育をしたというだけでテレビが取り上げた。「性教育で“何を”“どこまで”教えるのか」「自然にわかる」「寝た子を起こすことになるのでは」など論議されたり,週刊誌などで興味本位に取り上げられたりすることも少なくなかった。
学校の現場では,子どもたちの実態から性教育の必要性を感じている教師が多かった。学校によっては,自らも学びながら必要性を強く認識した教師の熱意と努力に支えられてその第一歩が踏み出されていたが,その数は少なかった。扱われている内容も,二次性徴に関わる体と心の変化が中心であり,最近では1・2年生の生活科や5・6年生の保健や理科での扱いの中で「おなかの中の赤ちゃんの成長」や「わたしの誕生」「受精」「生命誕生」などが少しずつ扱われるようになってきている。しかし,学校全体として6年間のカリキュラムの中で,計画的に進めている学校となると少なく,授業公開や研究発表会があるとどこも満員の盛況であった。それでもなかなか十分に広がっていったとは言い切れないのが現実である。
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