特集 知的障害児者への作業療法—支援スタイルの現在と未来
コラム:保護者の立場から
矢田 綾子
pp.1257-1258
発行日 2021年10月15日
Published Date 2021/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.5001202731
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わが家の小学5年生の長女は,重度の知的障害と自閉スペクトラム症という障害をもっています.歌とダンスが大好きで,何事にもゆっくり穏やかな性格の娘です.保育園の先生から発達について指摘を受けたのは2歳のころでした.「クラスで一人だけ靴が履けない(自分でやろうとしない),お友だちの名前は覚えているのにかかわりをもとうとせずニコニコ見ている,初めてのことや行事は不安になり泣いてしまう」というものでした.その後,3歳のときに地域療育センターを初めて訪れ,4歳から作業療法にお世話になり,小学生になった今では2〜3カ月に1回のペースで通っています.
娘は小さいころから運動面の発達がゆっくりで,何事にも不安が強く,慎重な子でした.身体イメージの悪さが顕著で,着替えやトイレ・食事等の生活習慣スキルは思うように身につかず,中でも着替えは親である私の悩みの種でした.周りの子はどんどんできるようになっていくのに,娘はいつまでも手伝ってもらうのを待っており,焦っていた私とバトルになることも度々ありました.それを解決してくださったのがOTの先生です.娘の着替え場面を一緒に見ながら,今できていることやこれから目標とすることを整理して,家庭での練習のコツや配慮点を教えてくださいました.私たちはそれを家で実践して,また教えていただくことを繰り返しました.作業療法を通じて,娘だけでなく私自身も,「このかかわりで大丈夫」と自信をもって対応できるようになりました.娘の生活習慣スキルの課題はまだたくさんありますが,小さなステップを踏みながら,できた経験を積み重ねていきたいと考えています.
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