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特集 実践科学としての看護学のための理論
第I部 一般理論
シンポジウム"看護における理論開発"
看護における理論:借りものと独自のもの
Theory in Nursing: Borrowed and Unique
Dorothy E. Johnson
1
,
稲田 八重子
2
1カリフォルニア大学・看護学部
2大蔵省印刷局東京病院付属高等看護学院
pp.301-305,383
発行日 1970年7月15日
Published Date 1970/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1681200198
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看護において,借用の理論と独自の理論を区別しようとすることは非常に危険である。その理由としてまず第一に考えられることは,科学分野において人間がつくった,多少独断的な各専門分野の区別は,確固たるものでも不変のものでもないということである。学問知識のおもな構成は,自然界の構成に対応して生じてきたのであり,したがって各分野の既定の境界もあいまいで,学問分野はそれぞれに各自の範囲に属するものを結合し,より大きなものにしようとしている。なお,学問知識というものは,本質的に科学のある一分野だけに属するものではない。学問上の一発見がある学問分野でなされたということは,全くの偶然事とは言えないけれども,その発見に所有権を与えることはできないはずである。このような観点から言えば,借用とか独自とかいった区別は,ほんとうに意義のあるものでも,永続性のあるものでもない。
さて,ここであえてその冒険を試みようとするのは,重要と思われるいくつかの理由があるからである。私は,科学には境界はないはずだと述べたけれども,実際には各学問分野の境界は,はっきりと設定されている。だからこそ私たちが看護分野にある知識を取り入れたいとき,どの分野を調べたらよいかを予測できるのであり,またある問題では,他の学問分野を調べても必要な資料は得られそうもないことを予測しうる。そこで私たちは,その問題に集中的に取り組むことができるのである。
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