調査報告
一保健婦の地区活動の実態から導いた援助行為の特徴
坪内 美奈
1
1千葉大学大学院看護学研究所
pp.407-412
発行日 1999年5月10日
Published Date 1999/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901979
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要約
保健婦は,受け持ち地区の中で,住民同士の助け合いを促す活動をしているが,その方法は,保健婦により格差がある。本研究では,保健婦がどのような人に対し,どのような方法で援助をしているか,地区活動の基本となる保健婦の援助方法の特徴を明らかにしたい。看護の原則に墓づき活動ができている熟練保健婦の活動を調べたならば,地域での援助活動の本質を見出せると仮定し,1地区(1万271人)の活動事象を記述分析した。①援助行為が向けられた対象,②保健婦の意図を基軸とした援助行為,を抽出した。観察期間内(97日間中の48時間分)に,保健婦は,12種の対象に向けて,407件の援助行為を行っていた。その内容は,「援助の基盤づくり」「認識に働きかける」「主体性を引き出す」「生活の営みを豊かにする」「行政への理解を深める」の5分類28細目で構成された。
保健婦の援助行為の特徴は,援助を要する人の援助ニードを充足することを基軸に,住民・関係機関の1人ひとりに意図的に働きかけ,要援助者を支える条件づくりをすることであった。また,その過程で,助けを提供する側に対して,受ける側への理解を促し助け合いへの認識を高めたり,助ける側においても助ける意志や主体性を尊重することが特徴となっていた。
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