読者からの手紙
保健婦活動と無医地区
青木 紀子
1
1三重県菰野町役場
pp.9
発行日 1965年1月10日
Published Date 1965/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662203281
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標題については,"今さら"の感を持たれる人が多いのではないかと思いますが,本誌昨年7月号で,国保の無医地区活動を分析した特集や,保健婦学生の「卒業したら,ぜひ,無医地区に」との感動的な投稿を読み,また,時折り「無医地区に,せめて,保健婦なりと設置されたなら」との関係者のことばを耳にするたびに,私の過去のむなしかった経験(種々の人間的なよろこびや,瞬間的には,仕事に対する充実感はあったとしても……)を,後輩にくりかえさせたくない,と同時に,この問題を,保健婦のこれからとるべきポーズとてらし合わせて,もっと真剣にとり組むべきでないか,と思いここに筆をとりました.
学生時代,保健婦として,意義ある活動をするには,無医地区にしかないと夢を抱いて,ある無医村に就職し1年間,村民の唯一の願いは医療を受けることなのであり,反面,私は,間口ばかり広い便利屋ではない.ほかにするべきことがあるはずだと,煩悶しつつ,時折り,出席する研修会も,日ごろの業務との大きなへだたり,そして,悩みを話す仲間もないままに,保健婦になったことを悔いさえもした経験をもちました.けれども,挫折感を強くしながらも,保健婦として働く夢を捨て切れず,自らの疑問の解明のために,現在の国保に勤務しました.
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